赤ちゃんの泣き声
昨日の朝、通勤電車で赤ちゃんの泣き声を聞いた
なんとなく違和感を覚え、同時にある種の懐かしさも感じた
そもそも、電車の中に赤ちゃんがいることが珍しい
電車に乳飲み子を連れて歩く親などとんと見かけなくなった
今やほとんどがマイカーに乗せて移動している
在所へ帰る、あるいは病院へ連れていくなど理由は様々だが
足はやはり車だろう
満員の通勤電車の中は、驚くほど静かだ
あれだけの人がいるのに話し声がしない
大半が一人だからだ
新聞、雑誌を読んだり音楽を聴いたり、眠っていたりする
孤独の集団なんだ
たまに騒々しいグループが乗り込んでくることがある
中高年の主婦の集まりであったり、
高校生のクラブ仲間だったりする
周りから完全に浮いているのに、
そんなことはお構いなしで、ひたすら井戸端的話題で盛り上がり
笑い声が絶えない
そうしたことは時々遭遇するが、赤ちゃんはとても珍しい
なにか懐かしさを覚えたのは、昔は普通の光景だったからだ
山田洋次監督の「家族」という映画のシーンが思い浮かぶ
九州から北海道へ一家あげて移住するために汽車に乗っていくのだ
途中、赤ちゃんは高熱で死んでしまう
哀しみを背負ったまま北海道の開拓村にいくのだ
家族という運命共同体の悲哀が汽車の旅に象徴されていた
確かに昔は電車に家族が乗っていた
今、いないわけではないが随分少なくなった
まして赤ちゃんを連れた家族なんてまず見かけないなあ
しかも朝の満員通勤電車では皆無だ
どんな事情があったのか知る由もないが
むずかる赤ちゃんの泣き声は、
はるか遠い昔を懐かしく思い起こされました
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