« 「二十四の瞳」を観た! | トップページ | 松山・道後のんびり旅(1) »

2011年4月16日 (土)

「東京物語」を観た

BSプレミアムで映画「東京物語」を観た

山田洋次監督が選んだ映画100本のうち
今年は「家族編」ということで50本を放映されるようだ

「東京物語」は小津安二郎の代表作として有名だ
しかし1953年(昭和28年)に製作されもはや58年経過している

今回はそれを修復したデジタルリマスター版である

映像も音声もとてもきれいになって見やすかった

物語はよくご存じだと思いますが、尾道に住む老夫婦(笠 智衆、東山千栄子)
が最後となるであろう東京にいる息子たちに会うため旅に出る

しかし、医者や美容院で日常に追われてどことなく寂しい思いをするが、子供
とはそんなものだというあきらめのような思いを残しつつ田舎に戻る

今回、あらためて観てみると、今は失われてしまった風景や
生活様式がいろんな場面で出てくる

とりわけ印象に残ったのは、病気の母(東山千栄子)の最後を見取るシーンである
自宅で子供が集まり布団に横たわり臨終を迎えるのだ

今どきの病院のベットと違い、点滴も心電図も酸素呼吸器もない

家族に看取られて静かに息を引き取るのである

いつ頃からか、病院が死に場所になってしまったのだろう

もう一つ印象に残るのは、お隣さんへお酒を借りに行くシーンだ

東京へ出かけてきた老夫婦を戦死した二男の妻(原節子)が
歓迎するためにアパートの隣家にお酒の融通を頼むのだが
気安く「これだけしかないけど」と一升瓶を渡される

貧しかったこともあるけど、お互いさま精神で困った時はできるだけ
融通しあう、そんな美しい関係がまだあった

豊かになるにつれ、そういう関係もいつの間にかどんどん薄れ
誰とも競争心をあおり自分本位のさみしいものになってしまった

ただ3月11日の東日本大震災が発生した後だっただけに
この映画が今までとは少し違った視点から観ているような気がした

今まで当たり前に思っていたことが、無くしてみるとその大きさ
大切さをあらためて実感する。

そして、これまで際限のない自分の欲望を満たすため、
身の回りに対して忘れていた気づかい、やさしさを
あらためて
今取り戻すきっかけになるのではないか

そうはいっても
テレビ、新聞、などマスコミが
今ここぞとばかりに
寄付だ募金だ、
ボランティアへ、
支援だ支援を、
自粛自粛、と
まるでオウム返しのように
みんな金時飴になるのもどうなんかね?

もう少し先が見えてくると、
そういうきれい事だけでは済まないように
なってきたときにもう知りませんでは困るし…

さて、この映画はいろいろ懐かしい光景が出てくる

老夫婦が熱海の旅館へ泊った時のこと
Img_0791

どこか会社の団体さんが来ていて宴会やら麻雀やらで大騒ぎ
深夜になっても寝付けない老夫婦

会社の慰安旅行が盛んだったのはやはり昭和の時代だろう
私の頃もまだまだこういう会社の慰安旅行は温泉だった

さすがに麻雀はだんだん少なくなり、カラオケが大ヒット

今では温泉旅行で宴会の余興をする会社もほとんど見られなくなった
平成に入ってから慰安旅行そのものも若い人が敬遠するという時代になった

人間関係を作るのがうっとおしいとか、個人趣向が強くなりすぎている

映画の舞台は、東京と尾道だ
尾道に住む老夫婦が都会に出た子供に会いに東京に出かけるのだが
なぜ、尾道なのかな?

そういえばこの3月までNHKの朝ドラ「てっぱん」も尾道だった

どうして尾道は映画の舞台になるのだろうか
昔の美しく、懐かしい日本のモデルみたいなものだろうか

確かに尾道は瀬戸内海のなかでとても風光明美な町だ

もう20年前にもなろうかあの見晴らしの良い町を訪れたが
こんなところに住んでみるのもいいなと思うほどだった

てっぱん家族のようなおせっかいすぎるほどの人情味が
未だ残ってるのだろうか

そういう関係は大嫌いだ、と言いながら孤独になり過ぎた
現代の家族が心の奥底で求めているものかもしれない

「オノミチ」は故郷の代名詞なんだろうか

小津安二郎監督は、
日本における家族を淡々と描いている
戦後の経済復興をしていく日本における庶民の日常をごく
普通に自然に描いている
Img_0796 

でも、今この映画を観るとそういう当たり前の日常がすごく
懐かしくてしかたない

裸電球、団扇、蚊取り線香、浴衣、物干し、SL、など
現代は、家も間取りも食べものも洋風化しすぎてしまい

本当に美味いもの、大切なもの、が見失われたようだ

「東京物語」はそういうことをも想わせる映画であった

« 「二十四の瞳」を観た! | トップページ | 松山・道後のんびり旅(1) »

コメント

>裸電球、団扇、蚊取り線香、浴衣、物干し、SL、

いいですね。
なつかしい。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/111086/39623907

この記事へのトラックバック一覧です: 「東京物語」を観た:

« 「二十四の瞳」を観た! | トップページ | 松山・道後のんびり旅(1) »

2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

日本ブログ村

最近のトラックバック

無料ブログはココログ