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2009年3月13日 (金)

「100回泣くこと」の中村 航

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「100回泣くこと」を読んだ
図書館で借りて読んだ
前にも「リレキショ」という本を読んだ

いずれも作者は中村 航(こう)
岐阜県大垣市出身の作家である
1969年生まれだから今40歳になる

「リレキショ」では文藝賞を受賞している
知ってる人はもちろん多いだろうが
私はこの2冊を読んだだけである

詳しいことはしらない
「リレキショ」を読んだとき
何だかとてもナイーブな物語?で
ガソリンスタンドで知り合った彼女

とても静かで大きな話に発展するわけでなく
淡々とした少年の日常的内面を描いていたように思った

今回の「100回泣くこと」も
そういう意味では描写が実に淡々としている
知り合った女の子とアパートで結婚の練習をしてみる

やがて彼女が癌に侵されて闘病生活
藤井君という僕は何にも助けになってやれない
そして彼女は死ぬ

その間の二人の会話も行動も何だか生活実感から程遠く
ままごと遊びのようでもあった

生きていることの重さがなく
かといってとてもやさしく繊細な心を持ち
壊れそうな二人の関係は
希薄な人間関係であるからこそ
気をつかいながら生きていくという
今日の社会状況を反映しているようでもある

‥‥

このなかで少しばかり、西美濃の原風景が登場する

ブックと名づけた捨て犬とは図書館の駐輪場の脇で出会った
「図書館に隣接した文化会館の駐車場を、
僕とブックは斜めに突っ切って進んだ」

ここは多分スイトピアセンターと大垣図書館だろう


「夕暮れ前になると、外に出て単車のエンジンをかけた。
 ‥‥
僕らは県道を東進した。‥
揖斐川にさしかかる手前で、県道から左にそれる。堤防の上を直進し、河川敷へと降りていく。‥‥いつもの決まった石に腰をおろすとブックが胸から這い出してくる。
河原にはいつでも強い風が吹いていた。ヘルメットを脱ぐと遠く鉄橋を渡る電車の音が聞こえた。空はあかね色から次第に色を落としていく‥‥」
038
           (揖斐川の河川敷)

私には多分、こんな風景かな、という感じになる

001 
       (夕焼けに沈む大垣の町)

私としては
西美濃に生活の場を置き、暮らしているという
極めてローカルな視点からこの物語をみているわけだ

東京の人、あるいは大阪の人が読めば
全く違った立場で見ていることになるはずだ

大垣の田舎を離れ、都会に出て独り暮らしをし、
偶然に知り合った彼女との奇妙な共同生活

彼女は死んだ
そのあと「結局、僕は何とも向き合おうともせず、こうやって
酒を飲むだけだった。百日の間、毎晩同じように酩酊するまで飲み、涙を流すだけだった」

それから3年後に、犬のブックは死んだ
バイクで大垣に戻り、ブックをバイクに乗せて揖斐川の河川敷に
埋めた

この小説はよく読まれているようだ
多分に若い世代だろう、って思う

それにしても、何か躍動感がない
静かにそおっと生きているって感じられて仕方がない

はっきり言って血の気がないっていうのかな
でも、こういうのが今の人たちに共感を呼ぶのかもしれないな

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