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2009年2月19日 (木)

残日録を読んだ(1)

時代小説の人気作家・藤沢周平の「残日録」を読んだ
文春文庫から出ている「三屋清左衛門残日録」のことだ

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読み終えて、久しぶりに懐かしいというか、
爽やかさ、とでもいうのか
こころが洗われるような気分が残った

この本を読むきっかけは
「文藝春秋」2月号に掲載された筑紫哲也・「がん残日録」と
鳥越俊太郎と立花隆の「がんと共に生きる」対談を読んだことだった

筑紫が肺がんで入院したとき、鳥越が見舞いに贈ったのが
数冊の藤沢周平の時代小説だ

筑紫は藤沢の作品を気に入って後に買い求めたのが
この「残日録」だったらしい

筑紫が昨年11月7日に亡くなる直前までの500日余りを書き残した日記を「がん残日録」と名づけたという

私もこの「残日録」という意味を間違えていたが
筑紫はこの「残日録」というネーミングが気に入り
あえて使ったのだといっている

「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」というのが本当の意味だとか

舞台は東北の日本海側にある小藩のようだ

027

主人公・三屋清左衛門は用人という要職に登ったが
藩主交替を機に隠居したという身分。
まあ、今でいう定年退職というより早期退職かな
52歳。
息子が無事、家督相続し、男の孫にも恵まれた
妻は3年前に亡くなって隠居部屋で暮らすが
よくできた嫁がなにかと気をつかってくれる

そんな境遇の中で話が展開されていく

まず風景がとても気に入った
遠くに連なる山々や葦など生えた川、曲がりくねった道、
広がる田や畑
武家屋敷、店が並ぶ賑やかな通り、静かな村の様子

春夏秋冬の自然の移り変わりが何とも豊かな世界で
春の香り、稲妻、激しい雨、蒸し暑い夏、積もる雪

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菜の花、猫柳、梅の花、桜、稲穂、枯野、ススキ、紅葉

今では失ってしまったような季節感があふれている

そして夕陽のまぶしさ、月の明かり、闇の暗さ
行燈、提灯などの火が造り出すやわらかい陰影

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これは江戸時代まで遡らずとも、昭和30年代頃の田舎では
まだまだあった世界だ

私の住む田舎でも昔の道は曲がりくねっていたし
雨上がりは水溜りがあちこちにでき
冬には軒先に下がったつららなどとても季節感があった

クーラーもファンヒータもない時代で
冬は火鉢やコタツ、焚き火、夏には蚊帳をつるしたりもしていた

まだまだ便利さや効率性を追い求めなかった時代で
貧しかったけれど、のんびり、ゆったりしていた気がする

こうした人間的な感覚を想い起こさせてくれる心地よさ

読んでいるとたっぷりその世界に入ってしまう(続く)

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