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2007年6月29日 (金)

特別展「宮本常一の足跡」に行く

今年・平成19年は、民俗学者・宮本常一の生誕100年だ。
明治40年8月1日、山口県の周防大島で生まれ今年で100年目というわけだ。
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東京都府中市郷土の森博物館では開館20周年記念として
特別展「宮本常一の足跡」が開催されている

ネットはありがたい
岐阜の西美濃にいても、こんな情報が手に入るのだ

それにしても「なぜ、府中市なの?」という疑問

その理由がわかった
宮本は昭和36年から73才で亡くなるまでの約20年間は
府中市に家族と住んでいたのである

そればかりか
市内を何度も歩き「府中市史」の調査、執筆など
いろいろ関わっていたのだ

そこで、無性に行ってみたくなり
ノコノコと出かけたのである

新宿から京王線「分倍河原」駅下車、バスで約5分
郷土の森は全体が公園のようになっており緑豊かな施設だ
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なかでも、けやき通りは歩いていても気持ちがいい
園内では、明治から昭和まで旧い民家や商家などが
移築されてかつての府中市の面影が見られる
こうした施設の構成にも宮本が関わっていたようだ
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特別展はこの博物館の中で開催されている
概観は大きな和風民家のようにもみえる

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博物館の中に入って驚いた
左手にミュージアムショップ、資料室、右手に喫茶コーナー
少し奥に今回の展示会場、さらに右奥はプラネタリウム

全体をつつむ雰囲気がとても温かい
そして賑わっている
子供から高齢者まで、そろっているのもいいな
これも宮本精神がどこかで生きているような気がする

よく、博物館へ入ると何となく空気が冷たくて
知識やモノやアタマだけが先行して
お仕着せの展示が鼻につくところが多いが…

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特別展の入り口には
「宮本常一の足跡~旅する民俗学者の遺産」
と書かれている

宮本はいつも笑っているか、何か真剣にみつめているような写真が多い
それは、温かいまなざしといえようか

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宮本が書いた膨大な書籍の山の一部が展示されている
彼が遺した著作を順次整理し出版されているが
おそらく100巻はくだらないだろうといわれる

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この特別展はきらびやかさはない
そして美術品のように鑑賞する貴重な展示品はない
古ぼけた書物であり、古い写真であり、手紙やハガキである

それでも、展示が興味深く、面白いから
熱心に見ている人が多い

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来場者は、全体的に中高年層が多い
懐かしそうな顔をしたり
嬉しそうな顔だったり
不思議そうな顔や
うなずくような顔だったり
みんな、それぞれの世界で宮本を見ている
そして心で会話しているようにもみえる

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とにかく、宮本は全国歩き回り
撮った写真が10万枚とか

府中市関係でも1000枚程あるらしい

宮本は昭和35年にオリンパスペンを買ってから
あらゆるものをメモ代わりにとり
ネガを残したのである

ちょうど高度成長で日本がどんどん変わり
生活も古いものが切り捨てられていく頃だった

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宮本が記録したり書き残した原稿も展示されていた
とにかく、筆まめというのか
小さな字で、しかもていねいな筆遣いで
読みやすい

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私が嬉しかったのは、
交流のあった教え子や後輩との書簡集だ

あるハガキには

私はファブルの昆虫記をよんでとても感激したものですが
我々が本当に人々のために啓発するような仕事をすることの出来るようになるには
あたたかい心と
こまやかな観察と
忍耐づよい努力が必要です
そして生涯 開拓者の気持ちで生きることです
どうぞ そうした人であって下さい

と書いてあった
後輩に対する温かいアドバイスがよく伝わってくる

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府中市民は宮本常一をどれだけ知っているのだろうか
「旅する巨人」といわれるほどの人が府中市に住んでいたなんて驚きではないか
誇りにすべきではないでしょうか

特別展でのあいさつ文に
「(郷土の森)博物館では、この節目の年に催しを通じて
生涯と業績を振り返り
地域のアイディンティティ再生に向けた情熱を
宮本と共有する機会にできればと…」
企画しましたということである

いまどこでも地域が疲弊している、無くしてしまった郷土愛、
それがひいては生きる力を消失してしまっている
そういうなかで宮本をどう共有するか

つまり、宮本が遺した遺産をどう活用していくかが
大切だ、ということだろう

私は、昨年、周防大島へ行き宮本の生き方が少し分かったような気がした

そして今回こうして東へスタコラ出かけて参りましたが
その大きさには面食らってしまいます

つまりは
私は「宮本常一」について何も知らなかったと
いうことがよく分かりました

民俗学ってなんだろう

人や社会の進歩・発展ってどういうこと?
豊かな生活って、幸せな人生とは?

そんなことを帰りのバスの中で考えてしまいました

でも、
とてもていねいな心のこもった特別展で
ノコノコと西美濃から出かけたかいがありました

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