「あんとくいん」
おやじの背中(1)
おやじは、昭和52年に66歳で亡くなった。
今のような高齢化社会になる前でもまだまだ若かった。性格はきわめて温厚で、少しおちょこでめったに怒ることはなかった。照れくさそうな笑顔が印象的だった。
こんな話を叔母から聞いたことがある。
おやじは甘いものが小さい頃から大好きだった。おやじがまだ子供のころ家で法事があった。当時は野菜を型どった饅頭が引き出物だった。
それが足りなくなっていた。どうしたのか問われても知らぬ存ぜぬを決め込んでいたが、突然ゲロを吐いてばれてしまった。
いつの間にかおやじはもうひとつの法名「あんとくいん」がついた。
そして親しみをこめてこの名が今でも呼ばれるようになった。
恥ずかしながら、少しおっちょこで愛すべきおやじ。
薄らいでいく記憶の中から、断片をたどりつつ
おやじのエピソードを順次紹介しよう。
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